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イスラム教では豚肉を食べません。しかし豚肉の代わりに食べている食事を知ると、なんと美味しそうなのだろうかと思ってしまう事も少なくありません。中東を中心に、イスラム教圏内でムスリムが食べている食事を紹介します …
イスラム教の特集はこちらの目次からどうぞ。↓
第5回 イスラム教の聖地は7つ!宗派に共通する3大聖地とは?
第6回 イスラム教徒が世界から注目される理由【2019最新版】
第7回 イスラム教国とイスラム国家の違い【イスラム教の教科書】
日本人は豚肉が大好きです。
牛肉や鶏肉に引けを取らない人気で、和食では豚肉料理の技術や伝統を作ってきました。一方で、イスラム教は豚肉を食べません。豚肉に触れた皿さえも使うのが禁じられています。豚肉を食べない理由は前回の記事で紹介したのでサマリーだけですが、豚肉の代わりに食べている美味しい料理や食事に迫ってみましょう。
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目次はこちら
イスラム教(イスラーム)とは
イスラム教(Islam)は、ユダヤ教やキリスト教の影響を受けた唯一神教です。
他の宗教と違う特徴は、偶像崇拝を徹底的に排除し、神への奉仕を重んじ、信徒同士の相互扶助関係や一体感を重んじる点だと言われています。今や世界3大宗教の1つで、米調査機関ピュー・リサーチ・センターによれば、イスラム教信徒(ムスリム)の人口は18億人と世界のおおよそ4人に1人がムスリムと言うことになります。
世界3大宗教の中でもキリスト教に次ぐ第二勢力と言われていますが、信者人口の増加するスピードは世界3大宗教の中でイスラム教が最も早く、2060年にはほぼ拮抗、その後は世界で最も人口の多い宗教となる可能性が高いと言われています。
コーラン(クアルーン)
コーランはイスラム教にとっての聖典です。
コーランと呼ぶのは日本だけで、国際的にはクルアーン(Quran)と呼ぶのが一般的です。114章から成るコーランは、唯一不二の神(アッラーフ)から最後の預言者に任命されたムハンマドに対して下した啓示が記載されています。今回のテーマ「豚肉」については下記の章を参照ください。
わたしに啓示されたものには、食べたいのに食べることを禁じられたものはない。ただ死肉、流れ出る血、豚肉ーそれらは不浄であるーとアッラー以外の名が唱えられたものは除かれる。(家畜 -アル・アンアーム-6:145)
とコーランに記載されています。
イスラム教で豚肉を食べない理由はコーランにこのような記載があるからです。豚肉を食べないという教えは、ユダヤ教にもあります。ユダヤ教の伝統を色濃く受け継いでいるイスラム教でも豚肉を食べないようになったのではないかという一節もあります。
ハラール(ハラル)
イスラーム法において合法なものの事をハラール(haral)といい、非合法なもののことをハラーム(haram)、非ハラール(non halal)とといいます。
コーランでムスリムに許されている食べ物(ハラール)は、何を食べているのかを知ろうとする意識から始まっています。イスラム教では清潔さや健康と言った要素を尊重するため、ムスリムはその食品基準を守ってきました。近年で欧米に人気のあるオーガニックという意識も根底は近いものがあると言ってもいいでしょう。
今や、中東から出発した食品の世界基準としてイスラム教徒であるムスリム以外にも根強い支持が集まっています。
イスラム教が豚肉を食べない本当の理由
イスラム教が豚肉を食べない理由は大きく5つあります。
その中から、豚肉を食べない本当の理由を1つ選ぶとハラールの精神という一言に尽きます。そもそもハラールというのは前途したように、清潔と健康を尊重する概念から生まれました。豚肉は何故、食べてはいけないのか、その理由は豚の生態的特徴から解釈することができます。
豚は雑食です。コーランではタブーとして禁じられている死肉や血も食べてしまいます。豚には何の悪気もなく、そういった動物なので仕方ありません。ハラールの根底には、何を食べているのかを知ろうとする意識から始まったのに、豚は何を食べているのかわかリません。その豚肉は、自分の預かり知らぬ可能性を秘めた食事となってしまいます。
わざわざそのようなリスクを抱える必要性が何処にあるでしょう。であれば、草食系動物であり、乾燥地帯の家畜として有用な牛や羊、ヤギなどを選ぶのは当然のことでしょう。実はイスラム教が豚肉を食べないのはコーランに書かれているという理由だけでなくその精神(考え方や価値観)があったのです。
詳しくはこちらの記事で解説しています。↓
イスラム教が豚肉の代わりに食べるもの絶品料理たち
イスラム教が豚肉の代わりに食べるものは一体?
2009年の調査にでイスラム教徒の多い6カ国で豚肉の代わりに食べられているものを紹介します。基本的にイスラム教はユダヤ教の伝統を色濃く受け継いでいます。ユダヤ語聖書レビ記では、「四足の獣のうち、反芻しないもの」の肉を食べることが禁じられています。
豚肉以外にも、ラクダ、イワダヌキ、イノシシ、野ウサギ、馬、ロバなども禁止されているのがイスラム教との違いでしょう。
インドネシア
インドネシアは古くから香辛料の国として有名です。
人口の86.1%がムスリムで、イスラム教の影響を受け豚肉を食べないため、その他の肉や野菜を香辛料で煮込んだ料理や揚げ物が多いという特徴があります。
基本的にインドネシア国内の料理店にはハラール認証が求められ、豚肉を使用せず、豚肉の替わりにエビ、鶏肉、牛肉を使用するのが一般的で、特に鳥料理は地元民に人気があり「サテ」という料理(日本で言う焼き鳥)は絶品です。
パキスタン
イスラム教を国教とするため豚肉は一切食べません。
パキスタンでは世界でも屈指の小麦生産国で、新鮮な小麦を使ったロティと言われるパンの種類が豊富(薄焼きのチャパティ、バターを使ったパラータ、日本でもお馴染みナン、香辛料を入れて焼いたタフタンなど)なことが有名です。
パキスタンではチャワルといったお米も食べますが自然とパンに合うカレーが人気のようです。
インド
インドではイスラム教よりヒンドゥー教で占められています。
人口のおおよそ13%がイスラム教だと言われています。その食文化は豚肉を食べないというより、ヒンドゥー教徒の上位カーストの者を始めとした菜食料理(ベジタリアン)とイスラム教を代表とする非菜食料理といったように街のレストランでも席が明確に分かれていたりと、独特の食文化があります。
非菜食料理はイスラム教によって伝えられたものが多く、豚肉は使われていません。様々なスパイスやハーブを多用するエッグポリヤルは作り方も豪快で庶民の人気料理です。
バングラデシュ
人口の90%以上をイスラム教徒が占めるバングラデシュの食事には勿論、豚肉は使われません。
ガンジス川、ジャムナ川、メグナ川の3本の川と無数の支流が国全体を流れているため、豚肉の代わりに魚介類が食卓に出る事も少なくありません。(動物性タンパク質の6割を魚類から摂取する)
主食は米で、カレーなどスパイスを効かせた副菜の組み合わせが一般的な食事です。バングラデシュで取れる魚の多くが淡水魚のため、淡白な身の唐揚げやカレーを好んで食べています。
イラン
イラン・イスラム共和国と呼ばれるように、国民の9割がイスラム教のムスリムです。
なので、豚肉は食べませんが、イランの人間は料理に対する工夫に無頓着だと言われ、アラブ世界の研究者からもしばしばイランにおける外食料理の質の低さが指摘されています。
実はイランには「最高のシェフは家庭にあり」という言葉があり、家庭料理にこそイラン料理の真髄があるようです。各家庭に伝わるレシピが存在し、一般的に食べられる大麦のスープやドレッシングが絶品なんだとか。
トルコ
トルコでは、国民の99%がイスラム教のムスリムだと言われています。
そのため世界三大料理と呼ばれるトルコ料理にも豚肉を使うレシピはほとんどありません。豚肉の代わりに羊を中心とした肉料理が一般的です。中東ではお馴染みケバブや全世界で人気の伸びるトルコアイスなど食文化としては世界でも有数です。
一方でイスラム教が占める国ではありますが飲酒は比較的自由でワインやビールなどの国産銘柄も絶品だと注目されています。
まとめ
イスラム教では豚肉を食べません。
「豚肉を食べれないなんて、勿体ない」と思う人もいるでしょう。しかし、こうやってムスリムが豚肉の代わりに食べているものを見ると、その考えは一変してしまいませんか。近年、中東では治安の問題もありますが、観光地としての人気はこのまま続いてゆくでしょう。
次のイスラム教の特集はこちらからどうぞ。↓
あとがき
今後数十年でイスラム教が世界一になる可能性があります。
そうすると、豚肉の消費量は落ちるかもしれません、日本でもハラール認定のある飲食店も増えてきました。豚肉に限らず、オーガニックというトレンドの次はハラールというトレンドも見逃せません。
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