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イスラム教国とイスラム国家、イスラム圏やイスラム諸国で実は使い方と意味が違います。その違いやイスラム教国の一覧、イスラム教国に共通する国旗の意味、イスラム教国の観光マナーなどを紹介しています …
イスラム教の特集はこちらの目次からどうぞ。↓
第5回 イスラム教の聖地は7つ!宗派に共通する3大聖地とは?
第6回 イスラム教徒が世界から注目される理由【2019最新版】
第7回 イスラム教国とイスラム国家の違い【イスラム教の教科書】
イスラム教は近い将来、世界最大の宗教となる可能性が最も高いと言われています。
イスラム教を国教とする国も多く、アジアやアフリカを中心に今後、比較的人口の増加しやすい地域のムスリムがますます増えています。イスラム教国でも種類があり、その違いについてフォーカスしてゆきます。
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目次はこちら
イスラム教とは
イスラム教は世界三大宗教の1つです。
1400年前にアラビア半島で始まった一神教で、この教えを信じる人々がイスラム教徒(ムスリム)と呼ばれます。唯一神(アッラー)を信じて帰依し、神の教えを日々実践して生活します。ムスリムは、信仰の告白、礼拝、喜捨、断食、聖地メッカへの巡礼からなる5つの基本行為、それに加えて神の教えで定められた行動規範を守ることは義務とされています。
例えば、豚肉を食べない、アルコールなど飲酒しないなどが代表的な戒律です。他にも1日決まった時間にメッカに向かってお祈りする姿を目にしたこと、聞いたことがある人も少なくないでしょう。
イスラム教と言えば中東とイメージしますが、世界のムスリムの半数以上はアジアに暮らしていて、パキスタン、バングラデシュ、インドなどが多くの人口を抱えますが、ヨーロッパに4千万人以上、中国にも2千万人以上が暮らしているなど全世界に広がりをみせています。
実際に、日本で生活するムスリムは人口10~20万人いると言われています。(現時点で大規模調査はありません)
イスラム教国
イスラム教国とはイスラム教に関連が深い国のことです。
- イスラム教が国教に指定されている
- シャーリアというイスラム法を実際に法律として運用している
この2つが一般的にイスラム教国やイスラム国家と言われる条件です。
しかし、世界で最もイスラム教徒(ムスリム)の多いインドネシアを始め、トルコやアルバニアのように人口の大多数がムスリムの場合にもイスラム教国と呼ばれることがあります。その基準として、
- ムスリムが人口の比較的多数を占めている
- 国家の指導的立場、主導的地位、指導権をムスリムが握っている
- イスラム協力機構(OIC)に加入している
上記の3つが挙げられます。イスラム教国をムスリム国家と呼ぶこともあります。
イスラム教国で暮らす社会生活を総じてイスラム世界と呼びます。厳密に言えば、シャーリア(イスラム法)を法律として運用していない国もイスラム教国と呼ばれる場合があるので、イスラム世界と呼ばずイスラム圏やイスラム諸国と呼ぶことも少なくありません。
イスラム国家とは
イスラム国家(islamic state)とは、名実ともにイスラム教によって統治される国家のことです。
イスラム教を国教にすることは勿論、聖典コーランと第二聖典ハディースを基礎にしたイスラム法(シャリーア)を国の法律(憲法)として実際に運用、ムスリムの指導者が統治を行っている国家とも言えます。
サウジアラビア、イラン、アフガニスタンを初めとする国ではシャリーア、若しくはシャリーアの強い影響下にある世俗法・憲法による統治が行われています。
しかし、エジプトなどのように政治・法制である程度の世俗化が進んでいて、シャリーアを憲法で主要法源とするなど、イスラム国家的な体裁を整えている中間的な国家も少なくありません。
東南アジアではその傾向はより強くなり、マレーシアではムスリムのみ飲酒を罰する法律があるなど、現時点ではシャリーアを法として施行している国家が少なくないのですが、国家運営面では一定程度穏健かつ世俗的な政権となっていることが多いのが実情です。
イスラム教が国教って?
国教とは、国が特定の宗教を公認、統制、保護する宗教のことです。
イスラム教に限らず様々な国で国教が指定されています。また、この国教は宗派の指定をする場合もあるため、一概にイスラム教が国教だと言えないケースもあります。簡単にイスラム教を国教としている国を紹介しておきます。
イスラム国家で宗派指定なし
- ジブチ
- イラク
- チュニジア
- バングラデシュ
- パキスタン
スンニ派(ムスリムの9割を占める宗派)
- アルジェリア
- コモロ
- エジプト
- ヨルダン
- リビア
- モーリタニア
- モロッコ
- カタール
- ソマリア
- アラブ首長国連邦
- アフガニスタン
- ブルネイ
- モルディブ
- マレーシア
シーア派
イラン
スンニ派およびシーア派
- クウェート
- イエメン
- バーレーン
ワッハーブ派
- サウジアラビア
イバード派
- オマーン
イスラム教の国旗
イスラム教を国教とする国旗の多くには三日月と星がデザインに組み込まれています。
イスラム圏では、赤い三日月の姿を描いた赤新月(Red Crescent、レッド・クレセント)は人道支援の象徴とするシンボルがあります。諸外国のように赤十字が人道支援のシンボルにならなかったのは歴史的背景(十字軍による虐殺)により受け入れられなかったようです。
他にも様々な憶測(オスマン帝国に由来するなど)が飛び交っているのが現状です。他にも、イスラム教国の国旗にはアラビア語が国旗の中にデザインされているなど、イスラム教の信仰に深い繋がりを持った国旗が数多くデザインされています。
イスラム教国のイスラム教徒(ムスリム)人口
イスラム教徒(ムスリム)の人口は世界で16億人とも言われています。
その割合は、人類のおおよそ4人に1人がムスリムだという計算になります。米調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、2060年にはキリスト教徒(クリスチャン)人口と拮抗し、その後(2100年)には世界最大の信者(信徒人口)を抱える宗教がイスラム教となる予測をしています。
現在はイスラム教国として最多のムスリムを抱えるインドネシア2.2億人(人口の9割)ですが、50年後にはインドがヒンズー教の優位を保ったままムスリム最多国(3.1億人)となる背景も強いようです。
イスラム教徒に関する詳しい解説はこちらの特集記事でも紹介しています。↓
イスラム教国での観光マナー
イスラム教国にムスリム以外が訪れる時にはマナーがあります。
大きく2つのマナーがあります。1つ目に女性のマナーです。基本的に女性は親族以外の男性に髪や肌を露出してはいけません。モスクに入るときは勿論、市街地でも嫌で泣けば、スカーフ(ビジャブなど)で髪を隠したり肌の露出しない服装を着るのがベターです。また、ムスリムは婚前の接触を禁じられていますので異性の接触もイスラム教国内では控えた方が良いでしょう。
2つ目に、食事のマナーです。基本的に豚肉を食べない、飲酒をしないといった戒律があることを知っておきましょう。スーパーでは、ムスリム以外の売場がありますが、ホテルの部屋などに帰ってから飲酒するなど配慮が必要な場合もあります。
これはローカルの人とお互いの気持ちを不快にしないためのマナーなので、面倒臭いかもしれませんが、不要なトラブルを避けるためにも、日本と同じようなローカルへの配慮をおすすめします。
まとめ
イスラム教国とイスラム国家では少しニュアンスが違います。
また、イスラム圏やイスラム諸国と言った言い方でも意味合いが違ってくるので、ニュースや記事を文献を読む時に意識をしておくだけで、受け取れる情報は数倍となるでしょう。
あとがき
イスラム国家はまさにムスリム達のユートピアです。
しかし、実際には他の政治観と同じように政府が現実の諸問題をいかに解決するかが腕の見せ所でしょう。ここに宗教の在り方が問われるのではないでしょうか。国であろうが個人であろうが、宗教の存在価値を見出すポイントの1つだと思いませんか。
補足;イスラム教国一覧
下記に掲載する57カ国はイスラム協力機構(OIC)の加盟国一覧を抜粋したものです。
- アゼルバイジャン共和国(Republic of AZERBAIJAN)
- ヨルダン・ハシェミット王国(Hashemite Kingdom of JORDAN)
- アフガニスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of AFGHANISTAN)
- アルバニア共和国(Republic of ALBANIA)
- アラブ首長国連邦(State of The UNITED ARAB EMIRATES)
- インドネシア共和国(Republic of INDONESIA)
- ウズベキスタン共和国(Republic of UZBEKISTAN)
- ウガンダ共和国(Republic of UGANDA)
- イラン・イスラム共和国(Islamic Republic of IRAN)
- パキスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of PAKISTAN)
- バーレーン王国(Kingdom of BAHRAIN)
- ブルネイ・ダルサラーム国(BRUNEI-DARUSSALAM)
- バングラデシュ人民共和国(People’s Republic of BANGLADESH)
- ベナン共和国(Republic of BENIN)
- ブルキナファソ(BURKINA-FASO)
- タジキスタン共和国(Republic of TAJIKISTAN)
- トルコ共和国(Republic of TURKEY)
- トルクメニスタン(Turkmenistan)
- チャド共和国(Republic of CHAD)
- トーゴ共和国 (Republic of TOGO)
- チュニジア共和国 (Republic of TUNISIA)
- アルジェリア民主人民共和国 (People’s Democratic Republic of ALGERIA)
- ジブチ共和国 (Republic of DJIBOUTI)
- サウジアラビア王国 (Kingdom of SAUDI ARABIA)
- セネガル共和国 (Republic of SENEGAL)
- スーダン共和国 (Republic of The SUDAN)
- シリア・アラブ共和国 (SYRIAN Arab Republic)
- スリナム共和国 (Republic of SURINAME)
- シエラレオネ共和国 (Republic of SIERRA LEONE)
- ソマリア連邦共和国 (Republic of SOMALIA)
- イラク共和国 (Republic of IRAQ)
- オマーン国 (Sultanate of OMAN)
- ガボン共和国 (Republic of GABON)
- ガンビア共和国 (Republic of The GAMBIA)
- ガイアナ共和国 (Republic of GUYANA)
- ギニア共和国 (Republic of GUINEA)
- ギニアビサウ共和国 (Republic of GUINEA-BISSAU)
- パレスチナ自治政府 (State of PALESTINE)
- コモロ連合 (Union of The COMOROS)
- キルギス共和国 (KYRGYZ Republic)
- カタール国 (State of QATAR)
- カザフスタン共和国 (Republic of KAZAKHSTAN)
- カメルーン共和国 (Republic of CAMEROON)
- コートジボワール共和国 (Republic of COTE D’IVOIRE)
- クウェート国 (State of KUWAIT)
- レバノン共和国 (Republic of LEBANON)
- リビア (Libya)
- モルディブ共和国 (Republic of MALDIVES)
- マリ共和国 (Republic of MALI)
- マレーシア (MALAYSIA)
- エジプト・アラブ共和国 (Arab Republic of EGYPT)
- モロッコ王国 (Kingdom of MOROCCO)
- モーリタニア・イスラム共和国 (Islamic Republic of MAURITANIA)
- モザンビーク共和国 (Republic of MOZAMBIQUE)
- ニジェール共和国 (Republic of NIGER)
- ナイジェリア連邦共和国 (Federal Republic of NIGERIA)
- イエメン共和国 (Republic of YEMEN)
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