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ユダヤ教とキリスト教はアブラハムの宗教だと言われ、共通点も多くあります。ユダヤ教の教え、ルーツが共通するイスラム教との関係、戒律、聖地などユダヤ教とは何か徹底解説します …
ユダヤ教の特集はこちらの目次からどうぞ。↓
ユダヤ教は日本で人気があります。
その証拠にユダヤ教やユダヤ人と名付けたビジネス本が次々にベストセラーとなっています。世界宗教とも呼ばれるキリスト教やイスラム教のルーツとなったユダヤ教は一体何なのか順を追って簡単に解説します。
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目次はこちら
ユダヤ教の特徴
ユダヤ人の民族宗教です。
ヤハウェを唯一神とする一神教で、世界三大宗教とも呼ばれるキリスト教やイスラム教の元になった宗教です。ユダヤ人は選ばれた特別な存在(聖なる民)だと考え、メシア信仰と呼ばれる救世主を待ち続けています。
メシアはあちこち存在していて「信じるだけでは救われない」と解釈し、言わば信仰や教義よりも宗教儀式などの行為や実践に重きを置いているのがユダヤ教の特徴でしょう。
歴史
ユダヤ教にとって歴史上画期的なできごとは2つあります。
まず、モーセの指導により民族がエジプトから脱出し、シナイ山において神ヤハウェと契約を結んだいわゆるモーセの十戒(シナイ契約)です。カナーンの地から飢饉などで難をエジプトから避けていた一部の民族への救いがきっかけで、民族全体にかかわる神の救いの業としてこの民族の意識のなかに深く根を下ろした歴史で、ユダヤ教の一神性と倫理的性格が生まれた瞬間です。
次に、紀元後70年には王国だけでなく、ローマの手でエルサレム神殿をも破壊されました。神殿祭儀を中心としていたユダヤ教の在り方が根本的に変質を迫られ、国はなくてもユダヤ教団として生きる道を選び、大胆な宗教変更・改革が行い、イスラエル民族のアイデンティティを確立させ、旧約聖書の天地創造物語が作られるきっかけとなったのです。
紀元前二千年紀カナン(パレスチナ)に移住した民族の祖アブラハムにさかのぼりますが、厳密にはユダヤ教として認識され始めたのは、キリスト教の登場以降であると言われています。
開祖
4千年の歴史を持つと言われるユダヤ教には開祖がいません。
と言うより、長い年月をかけて徐々に生み出された先人の叡智とも言えるため、現代宗教のようにたった1人の開祖によって始まった訳ではありません。
聖典や教典
ユダヤ教の聖典はタナハとも呼ばれます。
律法・預言書・諸書の3部から構成され、キリスト教で旧約聖書と呼ばれているものとほぼ内容的に一致します。その中でもイスラエル民と神との契約を記した書トーラー(モーセ五書)を重んじています。また、ミシュナと呼ばれる口伝律法やその注釈書であるゲマラを加えたタルムードも重要な教典となっています。
ユダヤ教の神「ヤハウェ」
ヤハウェは唯一神であり全世界の創造神とされ「宇宙の最高原理」とも呼ばれています。
神ヤハウェは自ら人間たちに積極的に語りかけ、「妬む」と自称するほど人類を自らの作品として愛し、創世記のとおり人類は内面を神ヤハウェに似せて造られたと言われています。
神ヤハウェは、はっきりしない存在と言われていますが、ヘブライ人たちがヤハウェを決してはっきりしないというだけではなく、神ヤハウェ自ら預言者たちに試練を与える場面を創世記やシェモース(出エジプト記)に記述したのは、神ヤハウェを実在感のある存在と捉えていたのではないかとも言われています。
ユダヤ教の教え
ユダヤ教の教えとされる一般的な教典はタルムードだと言われ、ユダヤ人の信仰および生活の基盤となっています。
教育、労働、食事、死生観、性、婚姻、商法など、多岐に渡って教義が書かれています。その中でも教育は最も重要視され、迫害などの歴史が多いユダヤ教では教育こそが身を守る手段と考えられています。
そして、特徴的なのは労働の価値観でしょう。労働は、神の行った行為だとされ神聖な行為と考えられ、人間は創造主の代わりに労働をする存在として作られたため、その労働により得た賃金や物質は一部を創造主に捧げなければならないという教えが浸透しています。
ユダヤ教の選民思想
ユダヤ教には選民思想があります。
簡単に言えば、ユダヤ人は選ばれた特別な存在だと信じています。ユダヤ教の選民思想とは、ユダヤ教にとって神と契約(聖約)を結べる唯一の民族だと考え、その契約を守って行くことによってメシアと呼ばれる救世主が現れ、平和が到来する唯一の道だと信仰しています。
そのため、ユダヤ教はモーセの戒律から派生する多くの戒律にユダヤ人が従う義務(使命)があると考えられています。
戒律が多く制約ばかりのように見えますが、逆説的に言えば、よりはっきりと進むべき道が神より啓示されユダヤ人に特別に与えられた恩寵だと解釈されています。ようは、聖約を果たす代わりに祝福を受けると言っても過言ではないでしょう。
ユダヤ教の戒律
ユダヤ教は戒律主義だとも言われる宗教です。
カシュルートと呼ばれる食物についての詳細な規定や安息日(金曜日の日没から土曜日の日没まで)に一切の仕事を禁じるなど厳しい戒律があります。ユダヤ教の食事や戒律についてはこちらの記事で詳しく解説しています。↓
ユダヤ教とキリスト教の違い
ユダヤ教とキリスト教の違いは沢山あります。
その中でも一般的人がわかりやすい代表的な違いは3つ(信仰・聖典・休息日)でしょう。まず、イエスキリストを神(救い主)であると考えるキリスト教に対して、ユダヤ教はイエスはメシア(救い主)の1人だと考えています。
次に、旧約聖書を重んじるユダヤ教に対し、キリスト教は新約聖書を聖典とします。そして、ユダヤ教の安息日は土曜日(正確には金曜の日没から)ですが、キリスト教ではイエス・キリストの復活の日である日曜日を主の日と呼び、日曜日を主日として礼拝に捧げています。
ユダヤ教とイスラム教の違い
ユダヤ教とイスラム教の違いも沢山あります。
その中でも注目したいのがユダヤ人とイスラム教の大多数を占めるアラブ人の選民思想の違いです。どちらも選ばれた特別な民だと言う根拠は、宗教の産みの親とも言えるアブラハムの息子が2人いて、それぞれ片方ずつの子孫がユダヤ人とアラブ人だと言う訳です。妻サラが生んだ子がユダヤ人、妻サラの所有していた奴隷ハガルが生んだ子がアラブ人という訳です。
念の為、アブラハム共に高齢(75歳)だったサラが子宝に恵まれなかったため、自らハガルを床入れしたようです。その後、なんと90歳にしてサラが身籠って出産したと創世記に書かれています。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の繋がり
キリスト教は西暦1世紀にユダヤ教から生まれ、イスラム教は西暦7世紀にユダヤ教とキリスト教の影響を受け生まれました。
どちらもルーツは中東に共通の起源を持ち、聖書の預言者アブラハムの宗教的伝統を受け継ぐため、この3つの宗教をアブラハムの宗教と呼んだりします。
ユダヤ教とキリスト教は少なくとも旧約聖書の部分では世界観を共有していますが、イスラム教の世界観はそれらとは独立して存在しています。アブラハムの宗教は今や全世界で40億人を超え、いずれも一神教であり偶像崇拝を禁じています。
ユダヤ教の聖地
ユダヤ教の聖地はエルサレム(イスラエル)にある嘆きの壁です。
嘆きの壁とは、ローマ軍によって破壊されたエルサレム神殿の現存する唯一の外壁で、ユダヤ教にとって最も神聖な場所です。ヘロデ神殿を取り巻いていた外壁の西側の部分とされ、ユダヤ人は西の壁と呼んでいます。
イサクの燔祭と呼ばれアブラハムが息子のイサクを神のために捧げようとした台(聖なる岩)を祀る神殿がエルサレム神殿です。
ユダヤ教の日本事情
日本在住のイスラエル国籍者は800名を超え、非常に少ないですがユダヤ教に改宗した日本人も存在します。
ユダヤ教徒=ユダヤ人です。ユダヤ教徒になれるのはユダヤ人だけで、改宗は簡単ではありませんが逆に日本人もユダヤ教に改宗すれば、ユダヤ人になります。シナゴーグと呼ばれるユダヤ教の会堂は全国に4つ(東京、横浜、名古屋、神戸)あります。
ユダヤ教の英語表現
ユダヤ教は英語で Judaism と表現します。
ユダヤ人は Jew と呼ばれ、聖地である嘆きの壁は英語で Western Wall と呼ばれます。基本的にユダヤ教用語はヘブライ語のため、英語が使われる事は多くありません。
ユダヤ教にとっての天使
天使は、ヘブライ語ではマルアハと呼ばれます。
遣わすと言った言葉からの派生語で、ユダヤの伝承では七大天使の他、天使サンダルフォンや天使メタトロンなどが存在します。サンダルフォンは背の高さが世界の大きさの半分に達すると言われ、メタトロンは世界の広さにも等しい長身で、36対の翼と無数の目を持ち炎の柱とも呼ばれ、一般的な御使いとしての天使とはかなりイメージや存在が異なるようです。
ユダヤ教の迫害
ユダヤ教には迫害の歴史があります。
ユダヤ教徒たちは古代に王国が滅亡して以来、1948年のイスラエル建国まで国を持たない民族として世界各地に離散していました。ユダヤ教の独特な生活習慣やイエス・キリストの処刑に加担したとの考えから、様々な迫害を受けてきました。
1993年になり、キリスト教カトリックの本部であるバチカン市国とイスラエルとの間に国交が樹立され、2000年3月には、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が過去のキリスト教カトリック教会が犯した過ちを認め、ユダヤ人迫害を容認したことについて懺悔したのは全世界でもニュースとなったのを覚えている人もいるでしょう。
ユダヤ教を信仰している国
イスラエルは国教制度を採っていませんが、ユダヤ教を民族宗教としています。
基本的にユダヤ人=ユダヤ教徒となり、どのような国にいようがユダヤ人の母親から生まれた者、あるいは正式な手続きを経てユダヤ教に入信した者がユダヤ人であると規定されています。
ユダヤ人の総人口は1500万人を超えていると言われ、イスラエル以外で最も多い国はアメリカでイスラエルと同じ人口がいると言われています。他に多い国は、フランスやカナダ、イギリスを含めた5カ国でユダヤ人の8割を占めています。
ユダヤ教の超正統派
19世紀の改革派、保守派の動きに同調しなかったヨーロッパのユダヤ人はすべて正統派と呼ばれています。
正統派のうちでもごく一部の人々はいっさいの変革を拒否し、中世的伝統主義ユダヤ教を保守しています。彼らはテレビ、新聞をはじめ、現代文化を受け入れません。しかしその他の大部分は、いわゆる新正統派とよばれる人々で、現代社会の文化価値を受け入れています。
これは、時代の流れへの譲歩ではなく、環境社会の文化を吸収し、かつその社会の言葉でユダヤ教の価値と思想を表現するのは、過去の歴史に明らかなごとくユダヤ教本来の必然性だ、と理解するからだと言われています。
その中でも超正統派とは、ユダヤ教の最右派。信仰上の理由から出生率が高く(6.9人)、国民1人当たりとしても世界一です。2019年1月時点ではイスラエル国内の信者比率は12%(約100万人)ですが、21世紀半ばにはイスラエル人口の40%に達するとの予測もあり、注目が集まっています。
まとめ
ユダヤ教は宗教のルーツだと言っても過言ではありません。
ようは、ユダヤ教の世界版がキリスト教であり、イスラム教でもあるという事です。宗教を知る時、やはり原典を探れという言葉もあるように押さえておきたいポイントでしょう。
次のユダヤ教特集はこちらからどうぞ。↓
あとがき
ユダヤ教で特徴的なのは、信仰よりも儀式や行動という部分にキリスト教カトリックやイスラム教、そして日本の民族宗教である神道にも通じる部分があると感じます。
宗教を比較する時、つい正しい間違いで判断したくなりますが、ユダヤ教にはメシア信仰によって排他的な信仰を避けている事が、仏教のように一神教であっても多神教的な側面もあるのかもしれないと思ってしまいます。
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